「か、かか、彼方!」

「落ち着いて、柚月。慌てなくていいから」


よしよしと私の頭を撫で、私を落ち着かせてくれる。


「でも、緊張してぎこちなくなってる柚月も可愛いよ」

「うぅ、緊張するとすぐにどもっちゃうし、彼方の顔とか見れなくなっちゃうから……」

「無理してこっち向かなくてもいいよ。なんならこのままでも……」

「そ、それは嫌だ!」


勢いに任せて彼方の方を向く。

体が離れちゃったのは、この場合はもう仕方ない。


「ちゃんと、彼方の顔を見て言いたいの! ちゃんと彼方に、この気持ちを伝えたい、から」


緊張してうるさいぐらいに音がする胸を、手で押さえる。


「彼方だって、私の顔を見ながら気持ちを伝えてくれた、から。私だってそうしたい」

「……柚月」

「彼方っ」