「近衛クン? そこでなにをしてるんだい?」
「っ!?」
名前を呼ばれ、驚きのあまり身体が跳ねる。
振り返るとそこには鬼龍院くんがいて、不思議そうに私を見つめていた。
「近衛クンどうしたんだい? どこか顔色が……」
ハッとしたように、鬼龍院くんは私の後ろ……彼方とセレナちゃんが話している方に視線を向けた。
「あ、あの、鬼龍院く……っ」
「近衛クン、こっちへ」
「わっ!?」
腕を引っ張られ、そのままワケも分からずどこかに連れていかれる。
ついた先は教室で、中に入るともちろん誰もおらず、私と彼方、鬼龍院くんのカバンだけが置かれていた。
「き、鬼龍院くん、いったいどうしっ」
私の言葉を遮るように、鬼龍院くんは、
私を強く抱き締めたのだった。