「──……お願いが──で」

「……ん?」


曲がり角から聞こえてくる声に、思わず立ち止まる。

この声……セレナちゃん?


「──……なんで──が──ことを」


続いて聞こえてきたセレナちゃんではない声に、身体がビクリと震える。


この声は……彼方だ。


ドクドクと脈打つ胸を押さえ、そろりと覗きこんでみる。

そこにはやっぱり、彼方とセレナちゃんがいて……


「……なんで、二人が」


こんなところで、二人きりで、いったいなにを話してるんだろう?

まさかセレナちゃん、彼方に告白……とか……