慌てて言葉を濁す。


だけど彼方は納得してないようで、私の腕を、まるで逃がさないとでも言うようにつかんだ。


「かなっ」

「分かりっこないって……なにが?」

「っ!?」


やっぱり聞かれてた。

まずい。どうしよう。誤魔化さないと。


「な、なんでもない……から」

「柚月、なにか悩んでるなら俺に言ってよ……それとも、俺じゃダメ?」

「……っ」


言えるわけがない。

私の本心なんて、言えるわけがない。


言ってしまったら、彼方に、なんて思われるか。


「……かな、たっ」


息がつまる。胸が苦しい。


「柚月? っ!?」


彼方が驚いた表情で、ただただ私を見つめている。


彼方、なんでそんな顔……?