朝、目覚まし時計より早く起きると、窓から見える空は暁色をしていた。
夏らしい、薄紫の空。
「こんなの見たら悠太思い出しちゃう」
私はつぶやき、夜が完全に明けるまで1人で眺めていた。
──悠太とは、わたしのかつての友達で初恋の相手の人だ。
何があっても、しばらく距離が離れても、いつも一緒にいた。
遊ぶときも、クラスでも、テスト勉強も、塾も。
はじめは冷やかしていた友達が何も言わなくなるぐらいに。
高校生になっても、大学生になっても、社会人になっても、一緒にいるものだと思っていた。
悠太がいない世界など、想像できなかったのに。
彼は中学の卒業とともに私の前から去っていった。
親の転勤だそう。
仕方ないと思いながらも、受け入れられなかったことを覚えている──