「せっかく収まったんですから、もういいじゃありませんか!」
「いや、でも、なんか情けをかけられたみたいで……。」
ああ、イライラする。なんだ、女々しいメガネ男は。
「わかりました。それなら、代わりに品物を古田さんに渡せばどうですか? それなら情けをかけられたことにはなりませんよ? 僕が届けますから、どうです?」
「品物? でも、渡せるようなものは何も……。」
「何でもいいんですよ。あ、その足元にある風呂敷包み。これは何ですか?」
「ああ、これは、あのお釈迦様の絵を買ってくれなかった時のためにと持ってきた花瓶なんだ。西洋の花瓶らしいんだけど、こうして見るとなんか作りが安っぽいね。」
「それですよ! その花瓶を古田さんにあげましょう。それなら納得してくれますよね?」