「売ったよ。さっき。」



すると、桂は僕の背中を押して、ロッカーに押し込もうとした。



「バカッ! 隠れろ! お前、殺されるぞ!?」



「ど、どういうことだ?」



「古田さんが『天上天下唯我独尊』の絵を売ったやつを、仲間のヤンキー総動員で探してるって話だ。きっと欠陥品を買わされて怒ってんだよ! よりにもよって、この瀬花の番長、古田さんを怒らせるなんて、ホントバカだよ、お前。」



「ちょ、ちょっと待て! 欠陥品なんて。あの絵はな、お釈迦様が書かれてて、欠陥品どころか、売った4000円以上は確実にする代物なんだ。欠陥してるところなんて……。」



……あ、あった! 額縁だ。



「おーい、マーケット部でこの絵を売ったやつはいるかー?」



ドアの方を見ると、さっきのヤンキーが絵を掲げていて、僕と目が合った。



「お前だな。ちょっと面貸せや……。」



ああ、終わった……。