弱った。非常に弱った。



「すみません。これは、買えませんよ。」



「やっぱり、額縁がボロボロだからかな?」



「あ、そういうことじゃないんです。実は僕、恥ずかしながら絵画の査定はできないんです。査定はできませんが、素人目で見ても、軽く何万、いや、何十、何百万もしそうな絵じゃないですか。」



メガネ兄妹は目を合わせた。



「やっぱりそんなにするかな?」



「ええ、おそらく。こんな高価なものを2000円で買って、100万くらい儲けてしまうと、さすがに悪いので、とても買い取れません。」



常識的に考えれば、この絵の価値が100万あったとしても、これを100万で買う生徒なんているとすれば、お嬢様の雀以外、いない。そんなものはとても買えない。



それに、この絵からは、線香の匂いがする。線香の匂いがするということは、仏壇の近くに飾ってあったものだと推測できる。



そんなものを丁寧に風呂敷に包んで、売ろうとしたのには、何かわけがあるはずだ。