「じゃあ、鈴村さんにも怖いものとかあるんですか?」
「僕の怖いもの……かあ……。強いて言えば、クモかな。」
「クモですか? 小さいのもダメですか?」
「小さいのなら何とか。でも、大きいのは見るだけで気絶するよ。」
気絶するほど嫌いなのか……。
「青柳さんもやっぱり虫とか嫌いなんですか?」
「虫? うーん、そんなに嫌いやないかな。家ではゴキブリもクモも出んし。」
そうだった。青柳さんの家は、超大金持ちだった。
「あ! でも、怖いモンはあるよ?」
「えー? なんですか? 教えてくださいよ!」
すると、青柳さんは顔を青くして、口元を押さえた。
「あかん……想像するだけで……うえっ……。」
想像するだけで吐き気を催すほど、嫌いなものがあるんだろうか。ますます気になる。