あんぱんの一杯入った籠を担いで10分。



一向に売れない。



円お姉ちゃんは、



「あんたが一生懸命やってれば売れるから! いい? 全部売ってくるまで昼食はなしだからね?」



とは、言っていたけど、売れる気配すらない。



あんぱんを担ぐ私の横をただただ通り過ぎて行くだけの生徒。



中庭では、お母さんが作ったのか、自分で作ったのかわからない弁当を広げて、みんなで昼食を楽しんでいる。



そんな姿を見ていると、羨ましいという気持ちが湧いてくる。



グゥ……。



お腹の羨ましいという気持ちが。