「意味がわからないわ。何しに来たの?」
「実は、生物研究部で飼ってるまむしが死にまして、それの弔いをしたいので、香典を届けてくれって、言ってました。」
「誰が?」
「何か、生物研究部の3年生で、林半次って、何とも目つきの悪そうな人です。」
「はあ……林ね。あいつが言ったの?」
「ええ、確かに。」
「まむしが死んだからって、なんで私たちが香典を出さなきゃいけないわけ?」
「ネコや犬の写真を撮らせてやってる代わりだって言ってました。」
「なるほどね……でも、私たちはまむしなんかには興味ないわ。撮ってもないし。」
「でも、いくらか出した方がいいんじゃないですか? もめるとめんどくさそうな人ですし……。」
「それもそうね。わかったわ。多くは出せないけど、後でまとめて持って行くからって、林にそう言っておいてくれる?」