「えー、ご不要になったものはありませんかー? 値よく買います。ご不要になったものはありませんかー?」
「おーい、ちょっと!」
声がして、「はいはいー!」と声をかけて、しまった! と思った。
声は、生物研究部の部室から聞こえる。
ここでは、声を出しちゃいけない。これは、マーケット部全員が、徹底していることだ。
生物研究部で、買わされるものは、大抵、動物のエサだとか、汚い水槽だとか、そういうものばかりだ。
しまいには、ヘビの抜け殻を買わされそうになったこともあった。
こんなものを仕入れてくると、部長に殺される。
でも、答えてしまったからには、覚悟を決めるしかない。