「何ボケーッとしてるの? 早くしないと学校に遅刻するわよ。」



「ねえ、円お姉ちゃん。早く夏来ないかなー。」



「何言ってるの。あと10ヶ月もあるじゃない。それにまだ冬も来てないわよ?」



ああ、そうだった。まだギリギリ秋なんだっけ。



「それよりいい? 部室の時計が壊れて、今日からこれを使うから。」



そう言って、円お姉ちゃんは、掛け時計を指さした。



「大きすぎない?」



「しょうがないでしょ。うちには、お金がないんだから。」



お金がない?



「あれ? あの火焔チューバを売った500万は? まだ手付けてないんじゃない?」



「え? あ、ああ、あれ? あれは、ほら、その……借金を返すために使ったわよ。」



へえー、マーケット部には借金があったんだ。意外と言うか、何と言うか……。