「実はね、あんたが500万を拾ってきた日、あんたが酒を飲んで寝ている間に、その金を交番に届けたんだ。それで、一昨日、持ち主が見つからなくて戻って来たんだよ。」



「……そうだったのか。あれは、夢じゃなかったのか……。」



「黙っててごめんね。あんたが、酒をやめて真面目に学校に行って、就職できるようにしてあげたかったんだ。あんたには、母子家庭で、いろいろ苦労かけたからね。」



「……母ちゃん、ありがとう。母ちゃんのおかげで、オレは就職できたんだ。オレ、母ちゃんの息子で、本当によかったよ。」



「まあ……。」



今度は母ちゃんは、涙ぐんでいるように見えた。そんな母ちゃんを見ていると、オレも泣きそうになった。