「円お姉ちゃん……このボロ宿、まさかおばけとか出ないよね?」
「バ、バカ! 出るわけないでしょ! 部室じゃあるまいし。」
「え? 何? 部室じゃあるまいしってことは、出るの!? 部室におばけ出るの!?」
「おばけじゃないわよ。部室に出るのは、トイレの花子さんに、動く人体模型に、人面犬くらいよ。」
「そ、それ、おばけだよね? っていうか、なんで出ること黙ってたわけ?」
「だから、おばけじゃないわよ。頼めば、店番とか、掃除とかちゃんとしてくれたわよ?」
そんな言い争いをしている間にも、音は近づいて来る。
「ま、ままままま……円お姉ちゃん……。」
「こ、こら! くっつくな! 暑苦しい!」
ギシッ……ギシッ……ギシッ……ギシッ……。