辿り着いた場所は、物凄いボロボロな二階建ての旅館だった。



「おいおい、話が違うじゃねえか、鈴村ァ!」



桂さんは、夏の暑さと、期待が外れた怒りで、鈴村さんの襟首を掴んだ。



「近づくな。暑い。」



「うるせえー! 死ね! 死んで詫びろ!」



ああ、せっかく旅行に来たのに、ケンカかあ……。見ているだけでこの暑さがどんどん増してくる。



「ほら、遊美、雀。このバカ二人は放っておいて、中に入りましょ。」



「「はーい。」」