そして、着いた先は……まさかの小田原駅。



「……乗り換え?」



「いや、ここから歩くのよ。」



ということは、場所は……小田原!? 小田原温泉!?



「おいおい、部長。500万だろ? 小田原温泉もいいけどよお、500万使って行くようなところか?」



桂さんは、グァムにでも行くと勘違いしていたのか、アロハシャツを着て、大きなスーツケースに座って、流れてくる汗を袖で拭っている。



「いいじゃないか、桂。部長は、小田原という近場で、高級旅館に泊まって、美味いもの食べようって考えなんだよ。」



そう言う鈴村さんも、ズボンの後ろポケットにパスポートを忍ばせている。



青柳さんは……高そうな日傘を差して、これまた高そうな扇子で風を扇ぎながら、目を細めている。相変わらずだ。



「文句ばっか言わないの! さあ、歩いた歩いた!」