「えっと……170円ですよね? ちょっと待ってくださいね……細かいのしかないんですけど、10円玉でもいいですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
「それじゃあ、一つ一つ数えますから、手出してくださいね? 行きますよ? 1、2、3、4、5、6……。」
律儀に10円ずつ、数えながら勘定を払っていく。なんだ、こいつは。
「11、12、13、14……今何時ですか?」
「今、15時ですね。」
「16、17。はい、確かに170円ぴったり。それじゃ、ごちそうさまでしたー!」
そいつは、勘定を済ませて、スーッと学食を後にした。
あのお姉さんを口説いていたわけじゃないのか? それともこれは口説く作戦なのだろうか?