雄ちゃんとリアルに出会える瞬間が、遂にやって来た。
土曜日に会う事になり、前日は仕事を終え帰宅してから早目に寝た。

【待合場所】=“羽田空港”ーーー。

碧が子供だった頃、母の実家・大阪に帰省する時に本当にお世話になった空港だった。
私の母は大阪でも南の方で、関空に比較的近い街で生まれ育った。関空が開港する以前は伊丹空港を利用してたけど、伊丹~南大阪は遠くて不便だったので、開港以降は専ら関空の利用が増えた。

今回は羽田での待ち合わせだけど、今後は空港を利用する機会がグッと増えそうだから、雄ちゃんに会えると思えるだけで“胸キュン”だった。

早朝ーーー。

私は、何時もの通勤電車で霞ヶ関駅に向かい、そこで下車して歩いて浜松町に向かった。何時もの歩き慣れてる道だけど、【東京モノレール】に乗車して羽田に迎えるだけでも嬉しかった。
モノレールに乗車し、空港へと向かった。

「雄ちゃん飛行機無事乗れたかな?」
会える瞬間が近付く程心配になって来る。右手に【半月(鎌倉では有名な和風ゴーフレット)】を持ちながら彼が会える瞬間を待ち望んだ。

因みに、【半月】=“実家の母のお気に入りのお菓子”の1つであり「折角雄ちゃんに会うんやったら、仕事帰りに半月でもこーてったらええんちゃうん?」とアドバイスしてくれたから買った。勿論、碧自身も好物だ。

浜松町を出発して十数分後、私を乗車したモノレールは、無事に羽田空港に到着した。

前日のLINEでは「【第2ターミナル】で待っててな♬」と連絡が入ってたから、到着予定時刻の10:00頃迄、空港内のアーケードを見ながら暇潰しをした。

10:00ーーー。
もうそろそろ雄ちゃんが搭乗したANAが着陸するから、到着ロビーで待機する事にした。

「雄ちゃんにちゃんと挨拶出来るやろぅか...。」
只々心配でならなかった。でも、ここまで来れたのだから胸を張って自信を持たなきゃ。

碧がロビーを見上げたその時だった。

「碧ちゃん!」
誰かが手を振ってこっちに向って歩いて来た。

「ずっと待っててくれたんやね、僕が【雄一】です!」
「(¨* )あのぉ…雄ちゃんですか!?」
「そうやで。僕は、ずっと前から君を探してました。」

緊張の余り、思う様に会話が進まないけど、前日に買った【半月】を渡し、私達は【ブルーシール】を食べて休憩する事にした。

雄ちゃんは見るからに優しそうな青年。
「この人と一緒に居ったら、どんな困難でも乗り越えて行けそうやわ!」

自分が“求めていた相手”と、遂に出会えたのだーーー。
空港で雄ちゃんに出会えてから、碧は更に前向きになれそうな気がして来たのだ。