「それはそうと……今日は確か、金野がお昼から来るのよね?」
「ああ。俺達の考えを気づかれないようにするためにも、金野とは入れ違いになった方がいいな。話してる所を見られるとマズいし」
「そうなんだけど……」

日野が腕を組む。

「金野の行動を見ておきたい気もするの」
「その役目は佐賀に任せちゃダメなのか?」
「社員達に取材しないと本は書けないだろうし、あのキャラだもん……多分どう書くかを考えてる間は周りのことなんて目に入らないはず」
「それもそうだな……」
「心配ないよ、それなら」

いつの間にか、傍に瓜古がいた。

「わわっ、ヤッくん!?」
「ヤッくん? 何だよそれ? てか瓜古はいつからいたんだよ? それに聞いてたのかよ今の話?」
「えーと、阿倍君……質問が一気にきて答えづらいよ……」

そうは言っても、こちらとしても質問したくなることが多すぎるというものだ。瓜古は一呼吸置いた。

「まず、ヤッくんって呼ばれた件だけど……僕と歌澄は同業者として仲がよくてね」
「それはむしろ最後でいいっての、問題はいつから聞いてたんだって話」
「ああ、それね。金野君の状況を監視する人が欲しいっていう所から。よく分からないけど、金野君にドッキリでも仕掛けるつもり?」
「ドッキリって言うかまぁ、話せば長くなるんだけど……どうする?」

計画外ではあったが話をしなければ変に怪しまれると思い、仕方なく話すことにした。