いちいち、そんなこと
言わなくていいってば!
優しかったり甘かったり意地悪だったり
素っ気なかったりと慶さんはいろんな顔をする。
「う、うるさい!」
「萩花もそのスウェット脱いじゃえば?
ほら、バンザイして」
はいはい、バンザーイ…って違う違う!
なにどさくさに紛れて脱がそうとしてるのよ!
本当に慶さんってば、変態さんなんだから。
「脱ぐわけないでしょ!」
「ちっ、無理だったか。
でも、早く着替えてこい。三分以内な」
「はぁ!?さ、三分!?」
女の子に三分で用意しろなんて不可能だよ。
しかも、彼氏とのデートだよ?
慶さんは女心を分かってないなぁ。
「出来なかったら、萩花からキスして」
「へ!?」
あ、あたしからキス!?
そんなのアリですか!?
ていうか、最初から
それが目的だったんじゃ……
だって今の慶さん、すごく意地悪な表情だもん。
またやられてしまった…
慶さんはあたしを騙すプロだよ。
あっ、あとはね、ドキドキさせるプロでもあるね。