「泣いてんのか?」

そんなことしか聞けない。なんて声かけていいのかもわからねえ。つかえねえやつだな。俺は。


『泣いてないよ!…多分』

乃愛は案の定泣いていた。


「ごめん。何もできなくて。俺と一緒にいるとき話してくれれば、もっと何か出来てたかもしれないのに。」

そんなのただの言い訳だ。


『ほんとだね。一緒にいれば頭なでなでしてもらえたのに。』

乃愛は無理して笑う。


「無理に笑おうとしなくていいから。俺になんか気使わなくていいし。頭なでるのなんていつでもしてやれるし。」


『…ありがとう。もう玲央くんとは帰りたくないな…。
頭なでるってやつ忘れないからー!』