「な~んちゃって」
「そんな!たしかに当たったはずなのに……なぜだ!?」
動揺を隠しきれない凜太郎。
「なぜ私がぷりけつビームをくらってもピンピンしてるか、教えてあげよっか?それはね、この"盾"のおかげなの」
「そんな盾、前に怪人ボインと戦った時はなかったはず……!」
「そう。たしかに前回君とボインちゃんが戦った時にはこの盾は存在してなかった。だから、研究開発班が君とボインちゃんが戦ってる映像を見て、研究して、創つくったのよ。この盾を!ぷりけつビーム対策用の盾としてね!!この盾さえあればぷりけつビームなんてもうへっちゃらなんだから!」
「"戦ってる映像を見て"って……それってつまり、あの時お前らの仲間の中に俺と怪人ボインが戦ってる様子を録画してた奴がいたってことか?」
「ピンポーン!そういうこと。今もどこかで私と君が戦ってる様子を録画してると思うよ。うちの偵察班ていさつはんがね」
辺りを見渡し、怪あやしい動きをする者がいるか探す凜太郎。
「探しても無駄だと思うよ。うちの偵察班は隠れるのがめちゃくちゃ上手うまいし、逃げ足も超速いから。それに特殊な訓練を受けて、地球人に化けてるからパッと見ただけじゃ分かんないと思うよ。それに、今は目の前に私がいるってことを忘れないでね」
「クソッ……!」
「あぁ、そうそう!君のヒップアタックも見切っちゃったから。もう同じ手は通用しないよ」

――ぷりけつビームが封ふうじられた以上、俺に残された選択肢はもうヒップアタックしかない。でも、もし見切られたのが本当ならヒップアタックも使えないということになる。このままじゃ本当に勝ち目がない。もう本当に打つ手はないのか!?なにか、なにか手は……!
「どうしたの?もう降参こうさん?大人しく私のお尻でぺちゃんこにされちゃう?」
余裕よゆうの笑みを浮かべる怪人デカシリ。
「まだだ!!まだ勝負は……終わってない!!」
諦あきらめず、怪人デカシリに立ち向かっていく凜太郎。ヒップアタックの体勢に入る。
「ヒップアタックだね。分かってるよ。君に残された必殺技はもうそれしかないもんね。でも、無駄だよ」
「そんなの、やってみなきゃ分からない!!くらえ!!必殺!ヒップアタアァァァック!!」
怪人デカシリに渾身のヒップアタックを放つ凜太郎。しかし、あっさりかわされてしまう。尻もちをつく凜太郎。
なんとか立ち上がるが、すでに息が上がっている。体力的にもエネルギー的にも限界が近づいていた。
「もう終わり?次は私の番かな」
怪人デカシリは素早く凜太郎の懐ふところに入ると腹部ふくぶに強烈なパンチを繰り出した。
「がはっ!!」
その場で崩くずれるようにうずくまって、動けなくなってしまう凜太郎。
「どう?私のパンチもなかなかでしょ?私たち戦闘班は色んな格闘技も習ってるんだ~。たまに練習試合とかもするんだけど、ボインちゃんには負けたことなかったなぁ。私の武器がお尻だけだと思ったら大間違いだよ」
凜太郎を見下みおろしながら得意げな笑みを浮かべる怪人デカシリ。