「私、羽鳥を好きなの?」
誰にも相談できないから、美雨は1人の部屋でリトに聞いてみた。
独り言ではなくしゃべるほうのリトを確かに意識していたら、途端に少し背筋を伸ばしたように雰囲気が変わり、リトがしゃべり始めて少し驚く。
「本当に好きなったときは、僕に聞く必要なんてなくなると思うよ。恋というのは、つまり近づきたい、特別になりたい、所有したいというエゴだからね」
羽鳥に対するよりは、美雨には優しい態度だ。やはり飼い主だからだろうか。
「エゴって、ワガママってことだよね。悪いこと?」
「いや、エゴをなくす必要なんかないよ。ただそういうエゴのゲームだと知っているべきだろうね」
しかし相変わらず、言っていることの意味はよくわからない。ゲームとは恋の駆け引きとかいう話なのかもしれないが、だったらますます美雨の今の気持ちとはかけ離れている。