私は黒い車が見えなくなるまで
手を振り続けた。

見えなくなると、
私はその場にしゃがみこんだ。

“好き”って言うつもりはなかったのに、
言っちゃった。

まあいい。
この気持ちに偽りはないから。

私は立ち上がり、右手にあるハンカチを
ぎゅっと握った。





――私も前に進も。

そう小さく呟いた。