瀬川海side
ふんふん、今日は高校生活2日目。
高校生活の3年間で何か変わったらいいな〜
とか言っても、地元の高校。田舎だからヤンキーかギャルばっか。
昨日の入学式も半分くらいしか来てなかったし。
まぁいいよ、なるようになるから。
当たり前だけど昨日よりいっぱい人がいる。
クラス開きだからね
えーっと、私のクラスは、C組か。瀬川だから教室の真ん中のようで真ん中じゃない席。
教室はがやがやしてる。主に女の子の黄色い声が聞こえるんだ。
女の子がある席を中心にいーっぱいかたまってる。みんな髪の毛染めてて、お化粧も厚い。
女の子達が必死に囲んでいるのは、顔が綺麗な男の子2人。
黒い髪の毛と色素が薄い髪の毛、2人とも綺麗な顔してる。あ、いけない、いけない。
絵を描くことがすきだからつい、人のことじーっと見ちゃうけど、見てていいことがあったためしはない
がらがらっと先生が弱く入ってきた。
「ほ、ほ、ほーむるーむをはじめます。」
「せんせーかわいいー」
野次が飛ぶ。
緊張しているのか震えた手で黒板に田々楽るいと書く。
「担任のたたらるいです。1年間よ、よろしくおねがいします」
「るーいちゃーん、よろしく〜!」
担任はひよっちい男の先生か。るいちゃんやら、るいるいやらいろんなあだ名がついてる。
自己紹介が簡単にはじまる。誰も聞かないけれど、美形の2人の時は質問やら何やら。
通り過ぎたらまた静〜かになる。興味の無い人の人となりなんて、石ころみたいなものだものね。
その後はみんなだるい眠いを口にしてがたがたと帰っていく。
先生は教壇で黒板の名前を綺麗に消していた。
「先生、図書室はどこですか?」
「図書室はね、E棟の二階にあるよ。待って、地図を書くね」
優しい先生だ、ノートをちぎって簡易地図を書いてくれた。
E棟は、資料や本が置いてあって普段は誰も寄り付かないみたいな雰囲気だ。
図書室に入るとしーんとしている。いい!これはいい!
人がいない雰囲気は好きだ。埃っぽいと思いながらも並べられている椅子に座ってみる。
ふわぁ、眠い、人がいないからこその大きなあくび
「ふはっ、完全に人がいないって思ってるっしょ」
!?誰!?
前の棚の影から現れたのは、クラスにいた黒髪の美形のほう
「あ、美形マン」
「んだよ、その名前、笑える」
笑う美形マンはまぶしい
人物を描きたいとおもうときもあるけど基本的に人は描かない
あぁ、描きたいこの人
でもどうせキモイとか言われて終わるならいい。
「………」
黙ってると、
「…まあヤり場を求めてきたカップルよりましか」
「なっ……」
「なにあんた、顔赤」
「……」
「…」
ああ、くそ気まずい
「ねぇ、美形マン」
「そのあだ名やめろ、変なセンスを感じる」
「名前知らない」
「お前同じクラスだろうが」
「?聞いてない、あんたの絵を描いてもいい?」
「?別にいいけど」
おお、戸惑わないのか、
「ほんと!?じゃあそこに座って!」
いつも持ち歩くクロッキー帳に大まかなバランスなどを書き込んでいく。
「あ、美形マンの名前は?」
「鈴木晴 晴は天気のはれ」
「へー素敵な名前」
「普通だろ、お前の名前は?」
「名前は基本的に素敵、瀬川海」
「…ほー」
でーきーたー
若干粗いけど!納得がいく。
「ありがと、鈴木晴、じゃっ」
「おい、フルネームかよ、というかせっかく描いたんだから見せろよ」
「……いいけど〜」
「んな嫌そうな顔すんな、どれどれ」
クロッキー帳を差し出す
「……すげぇ」
「じゃ!今度こそじゃーね」
「おう、瀬川海」
ははは、私は自分の名前大好き
海なんて素敵な名前、自慢したいくらいだもん
鈴木晴side
入学式はめんどくさいから行かなかった。
学校きたとたんまわりのケバいギャルに囲まれて質問ばっか。
友達の新庄佑雨がほぼ答えるから、俺はだんまりを決める
つまんねぇな、三年もこの学校で過ごすのか憂鬱だな
ケバい女達の間からちらっと染めてないナチュラルな髪の毛の女が自分の席に着くのが見えた
特段可愛いわけでもない、メガネもかけてないのでガリ勉でもない
ただナチュラル、その言葉が似合うやつだ
珍しい
ホームルームが終わってから、落ち着く場所を探そうと思って学校の中を歩いてみた
ラッキー、だれも寄りつかなさそうな図書室がある
これはいい。と思って、万が一人がきても死角になる低い棚の上で寝転ぶ
ちょっとしてから、人が入ってきた。
ちっ、人が来ねぇと思ったのに。
そーっと覗いてみる
と思ったら、ナチュラル女だ。
女は座ってから大きなあくびをかます
ふはっおもしれぇ、女っ気ゼロかよ