体育館から出た私達は、それぞれ新クラスへ向かっていた。

クラスが違うちえとは廊下の前で別れて、2年3組の教室へ向かう。

教室に入ると、もうすでにたくさんの人がいた。

黒板に貼ってあった座席表を見て自分の席につく。

わぁ、なんだか緊張するな。

友達できるかな?

そんな不安を抱えながら教室を見回していると、後ろの席に誰かが座る気配がした。

誰だろう?ちらっと後ろを見て、私は固まってしまった。

なんと後ろの席に座っていたのは、あのイケメンだったんだ!

キャー!こんな近くで見れるなんて嬉しい!

1人で興奮していると、イケメン君が眠たそうな顔で、

「あんた、名前は?」

と急に声をかけてきた。

「え?私ですか?」

「あんた以外に誰がいるってのさ。」

「あっ。水川菜奈です。」

オロオロしながらも名前を答えると、イケメンが、

「え?!」

とビックリしている。


なにをそんなにビックリしてるんだろう?

「水川菜奈って学年で1番かわいいって言われてる子でしょ?」

え?そうなの?

「えーそうなんですか?」

「自分の事なのに知らないんだ。やっぱり、聞いた通りだ。鈍感だってゆってたしな。」

なにやらブツブツ言ってるイケメン君。

だれが鈍感よ!

あっ、それよりイケメンの名前を聞いてないや。

「あの、そうゆうあなたの名前は?」

「...宮本蓮斗。」

「へっ!?あの蓮斗王子?!」

蓮斗王子とは、この学年で1番イケメンだと言われている宮本蓮斗のあだ名なんだけど...。

私、名前しか聞いたことなかったんだよね。

たしかに王子と言われるだけはあるね。すっごいイケメンだし!

王子は怒ったような困ったような顔で

「その呼び方ほんと辞めてほしいんだけど。」

と言う。

「どうして?」

「王子とかいう柄じゃないし。そもそも女子ってほんとすぐキャーキャー言うから嫌だ。」

あー。確かにね。

蓮斗にも色々あるんだね。

「まぁよろしくね、蓮斗!」

「...うん、よろしく。」

あの蓮斗王子と同じクラスで、しかも席が近いなんて、これから楽しくなりそう!