勉強を頑張って知り合いのいないほどレベルの高い高校に入り、キャラを変え、順調に高校生活を進めていっているのだと思っていたのに
実際はそうではなく、君はまた僕を呼んでは弱音という本音を零すのだ
『居心地がいいのか悪いのか、もう、わかんないの
みんなが好きなのは私じゃない気がするけれど、みんなに思う私だって私だし』
そしてまた小さく溜め息
『きっと貴方ももうそろそろ私から離れていくんじゃないの?』
君の複雑そうな表情に思わず感じた美しさ、それにあがりかける口角をなんとか押しとどめ、微笑みかけた
...不信がられただろうか?
心を落ち着け、僕はまた君の話に耳を傾ける
...君が口に出すことで考えていることを整理しようとする人なのを僕は知っている
僕の役目は、君の隣に居ることなのだ
この30センチの距離を縮めることも、広げることも、許されない
もっと近づきたくないわけない
しかし、だ
演技上手の彼女が僕のような唯一の存在を失くしたらどうなってしまうのか
考えるのは容易い
君の精神の安寧か、僕の我儘か
大切なのは前者に決まっている
君の作り物の笑顔よりも、僕だけに見せるその表情が好きだよ
君が僕の気持ちに気付いて作り物の笑顔を向けるなんてことがないように
僕は今日もまた頷く
君の溜め息に精一杯の笑顔を向けながら