私の右隣を歩いていた清水が沈黙を破った。

「あ、そうなんだ。島田さん企画なら、多人数になりそうだね」

総務部の事務員でありながら、あのルックスと持ち前の明るさから営業部、企画販売部、受付の女の子とも親交の深い島田さん。そんな彼女が企画する飲み会は、大体多くの人が集まってくる。

私は数年前に一度だけ参加したことがあったけれど、それ以来参加はしていない。


「どうしてそんな他人行儀なんだよ。河合も来るだろ?」

「あー、いや、私はいいよ」

なんだか面倒なことになりそうだな、と思いながら適当に笑って返事を返した。

私は、正直なところ、あまり飲み会には参加したいとは思わないタイプ。あまり飲める口ではない私は、あの騒がしい飲み会という場が好きではないし、島田さん企画の飲み会は、若い男女が集まるからか “合コン” のような雰囲気があった。

一度だけ参加した島田さん企画の飲み会は、最初こそみんなでワイワイと話していたものの、気がつけば男女二人のペアがそれぞれ出来上がっていた。あんな雰囲気の中に混ざるのは、正直時間の無駄だ。


「何でだよ。河合、全然飲み会来ないじゃん」

河合が来たらもっと楽しくなるのにな、なんて、恥ずかしい台詞をいとも簡単に吐き捨てた清水は、続いて口を開くと「深川が嫌がるからか?」と私に問いかけてきた。