電話で色々な話をした。
斗真には、一つ下の弟がいるらしい。
家も割と、私のうちからそう遠くない場所にあることがわかった。
電話の向こうで話の最中ずっと、雑音が混じっているような気がしていた。
外にいるのかな?
「降矢君…斗真は今何しているの?」
「今?コンビニいるよ。……てかさ、今から会わない?」
「え、今から!?」
突然の誘いだった。
「無理っぽい?駅前のコンビニにいるからさ。みくの家から近いでしょ?」
待って、カレー作っちゃったし、お父さんもまだ帰ってきていない。どうしよう。
…でも、会いたい。
斗真と会いたい。
「…あー、ごめん無理ならいいんだ」
「ううん全然!すぐ行く!ちょっと待ってて」
「大丈夫なん?」
「うん!大丈夫!」
「わかった!じゃー待ってるわ!」
「うん、またね」
電話を切った。
髪をとかして少しだけ化粧をし、洋服も少しだけ可愛いものを選んで鏡を見た。
変かな?大丈夫だよね?
部屋のドアを開け、携帯電話を片手に階段を下りる。
「お姉ちゃーん、何でカレー食べないのー?って、どしたのおしゃれして!出掛けんの?」
リビングのドアから顔を出した優里葉がびっくりしながら言った。
「う、うん!ちょっと!ごめん優里葉、お父さん帰ってきたらカレー用意してあげてくれる?」
「うん…。大丈夫だけど」
「ありがとう、友達にちょっと会ってくるって伝えといて」
そして、私が一番かわいいと思うお気に入りのコバルトブルーのパンプスを玄関で履いていると、
「……ねぇ、友達なわけないよね?男でしょ?彼氏?」
と、優里葉が単刀直入に聞いてきた。
バレバレだった。