「はい、もしもし」


降矢君の声だ!


バッと、急いで耳に携帯電話を当て直した。


「あっあの、菅原です!先ほどはどうも…」


「あ、いやこちらこそ。…返事…聞かせてくれるの?」


カーッと顔が熱を帯びていく。


やばい…声までかっこいい。



ドクンドクンと心臓が音を立て、今にも飛び出しそうだった。



「あの…私で良ければ宜しくお願いします!」


言った…!言っちゃった…!



すると携帯電話の向こうから、降矢君の安心仕切った声が聞こえてきた。



「ほんと!?良かったー…!本屋の時駄目かもなって思ってたから…」



あの降矢君が、ガチで喜んでいる…。




「ありがとう菅原さん。あ、俺下の名前斗真だから斗真でいいよ。菅原さんも、みくでいいかな?」


「わかった!私もみくでいいよ」


彼氏できたと思ったら呼び捨てでとか…

免疫のない私は、こんなドキドキする世界があることを初めて知るのだった。



こうして私の彼氏いない歴16年の記録は、降矢君によってピリオドを打たれたのだった。