高校2年の夏―。
私の人生初めての出来事は、親友の叶絵と下校途中に本屋へ立ち寄っている時に起きた。
「菅原みくさん!!」
突然自分の名前を呼ばれた。
ビックリしながらも声のした方を振り向くと、二重の綺麗な眼をした黒髪の爽やかなイケメンが、頬を赤らめ私をじっと見つめ立っていた。
「えっ…!えぇっ…!」
叶絵が動揺する。
「俺のことわかる?同じ高校の2Aの降矢斗真っていうんだけど…」
「えっと……あ…、はい…」
知らない訳がない。彼はうちの高校きってのイケメン。
女子達の人気の的。王子様だ。
その彼がなぜ今私の目の前に……
「良かった…。あの、ずっと菅原さんのこと一目見た時からかわいいと思っていて…。良かったら、彼女になってくれませんか?」
突然の言葉に心臓が跳ね上がる。