それから、数日。

ほんの数日。

学校やバイトが忙しくって、彼女に会えなかった。


抱けなかったことも気になって、俺はその日、堪らずにバイトを早出して、彼女の家に向かった。



そして、俺は信じられない光景を目にしたのだ。 


彼女の家から、一人の男が出てくるのと、遭遇してしまったのだ。

男は、彼女と楽しそうに話ながら出てきて、

俺を見て、こう言った。

「弟さん?」


「え、ええ…」

少し引きつりながらも、笑顔でこたえた彼女の言葉より、

俺は信じられないものを見て、唖然とした。


男を見送った後、俺と彼女は部屋に入った。


そして、彼女は口を開いた。

「……わかったでしょ?あたしと千明ちゃんは、恋人には、見えないのよ。あたしと千明ちゃんは…釣り合っていないのよ。千明ちゃんは…もっと、あたしなんかより、若い女の子と…」



「あれ……誰だよ。今の男」

「………バイト先のお客さんで」

「どうしてだよ…」


「仲良く……なったの」

彼女は、僕から顔を背けた。


「そ、そっくりじゃないか…死んだ彼氏と!!」

電気がついていた部屋には、昔の彼氏の写真が一枚も、なくなっていた。

「外したんだ………」


俺といるときは、外さなかったのに。


「千明ちゃん…」


「やったのか」

俺は怒りで、頭がおかしくなった。彼女を睨み、

「やったのか!あいつと!死んだ彼氏に似てるって、だけで!」

彼女に激しく、詰め寄る俺を見て………彼女は、悲しげに俺を見つめた後、俯き……そして、言った。


「やったわ」

彼女は真剣な表情で、俺を見た。

「ど、どうして……」



「簡単なことよ」

彼女は笑い、

「千明ちゃんより、好きだから…抱かれただけ。淋しかったから…千明ちゃんに抱かれただけ……」

笑いは、苦笑に変わり、

「それだけよ。あたしが、千明ちゃんといた…本当の理由は」