何日か過ぎ……家にあった買い溜めがなくなったという理由で、彼女が部屋を出ていった。



いつも薄暗い部屋の布団の上にいるだけの俺は、

何気なく…本当に何気なく、部屋の電気をつけた。






俺は…息ができなくなった。

壁一面に貼られた写真。

それは、男の写真だった。

男がいただろうことは…何となくわかっていた。

敢えて、きかなかった。


いや、きけなかったのだろう。

俺は灯りを消そうと、天井からぶら下がる紐に、手を伸ばした。 

だけど、震えた手がなかなか…紐を掴めない。


あたふたしていると、後ろから彼女の声がした。

「別に…隠していたわけじゃないから…」

彼女は、買い物袋を置くと、中身を出しながら、

「やきもち焼きだったのよ。もし…この部屋に、男が来ても、変な気を起こさないように」



確かに、写真の数が半端ではない。


この部屋で、どうこうしょうとは、思わないだろう。



(…だけど、俺は…この部屋で何度も…)


愕然としてる俺を見て、彼女はこう言った。

「あたしのこと嫌いになった?いつまでも、未練がましく、死んだ男の写真を、ずっと貼ってる女なんか…」