やっぱり、彼女がーー?


「……なんの話、ですか?」

「かすみの教科書捨てたのも、あの花壇荒らしたのも、全部お前が犯人なんだろ?」

「先輩がなんの話をしてるのか分かりません」


そう言う彼女の表情が全てを物語ってると思った。遠目にもわかるほど、彼女の表情は引きつり、蒼白だった。


「しらばっくれても無駄だぞ。お前が花壇を荒らした日、あれだけ雨が降ってた中であんな派手に花壇荒らしてりゃ靴も汚れるわな。革靴がドロドロで廊下まで汚れてたぞ」

「な、んな話をしてるのか分かりませんけど、雨が降ってたのなら靴が汚れるのは普通の話ですよね?」

「泥遊びする小学生でもあるまいし、あんだけローファーが汚れるか? 俺はお前の靴を見た瞬間、犯人はお前だって思ってたけど」

「あの日、ぬかるみにはまったんです」

「へぇー」


冷めた颯ちゃんの目は、彼女を凍らせようとでもするみたいに放たれている。

でも彼女の言う通りだと私も思った。あの子が私に色んな仕打ちをしてきた犯人だとは限らないし、そもそも起きた出来事は全て同一犯とも限らない。

言動から言って怪しいとは思うけど、確証はなかった。


「かすみのカバンに泥を入れたり、教科書抜いたり出来るのなんか同学年くらいだろ。他級生が他の学年の校舎ウロウロしてたら目立って仕方ねーし」

「でも私じゃ……」


彼女は懸命に無実を訴え続ける。けど、颯ちゃんは冷たくこう言い放った。