「俺の、なんだよ」


颯ちゃんは、彼女の頬を片手で摘むみたいにして、握った。

彼女の口は尖って、そのまま口を閉ざした。


「なんだよ、言ってみろよ」


私の手のひらに嫌な汗が滲み出す。背筋がヒヤリとして、突然呼吸が浅くなった。


「あ、いえ……」


颯ちゃんは乱暴に彼女の頬から手を離し、さらに詰め寄る。


「言えよ!」


一喝されて、彼女の体はピクリと揺れた。けど、やっぱりそのまま口を開こうとはしない。


もしかして、彼女は……。


私がそう思い始めていた時だった。私の考えを肯定するかのように、何も語ろうとしない彼女に代わって颯ちゃんが話しを続けた。


「俺のなんだよ?」

「それは……」


彼女が目を逸らした瞬間だった。颯ちゃんは一気に確信をついた。


「お前……あいつが俺の元カノの妹だって言いたいんだろ」


空気がシン、と静まってるのに、私の心臓だけは鋼を打つみたいにドクドクと音を立てていた。

彼女はバツが悪そうにしつつ、口は真一文字に塞がれている。

そんな様子にもお構いなしに、颯ちゃんはさらに話を続けた。



「……お前だろ? こないだ俺宛の手紙をそこの花壇に置いてったのは」