なんで? なんであんな事言うの? なんで、あんな事続けてるの?

私がイジメに遭ってる時、颯ちゃんとても悲しそうで申し訳なさそうな顔してたのに。


おかしい。颯ちゃんがおかしい。


それって、私のせいなの? 私が、お姉ちゃんの妹だって隠してたから? それがショックで女性不信になってしまったの?

……それは十分ありえる。だって、颯ちゃんは傷ついてた。お姉ちゃんとの事で深い傷を負ってた。

だからあんな日替わり彼女なんか作っては、その隙間を埋めようとしてた。

それなのに、私はおこがましくもそんな颯ちゃんを癒そうだなんて思って、全てを隠して側にいたから……それが颯ちゃんに更なる深手を負わせてしまったのかもしれない。

始まりは不本意だったけど、結果として颯ちゃんを傷つけた。それなら、私がなんとかしなきゃ。ちゃんと颯ちゃんと話さなきゃ。

これ以上嫌われたって、罵られたって、なんとかしなくちゃ……!


そう思って颯ちゃんの元へと駆け出した。

私が颯ちゃんのところにたどり着いたのは、三年校舎のすぐそば、あの花壇がある辺りだった。


「先輩!」


颯ちゃんの後ろ姿を負って、あの聴衆の中から飛び出したけど、人混みが多すぎて出遅れてしまったらしい。

颯ちゃんが振り返った先にいたのは、あの一年女子だった。


「なんだよ。なんかまだ用があるのかよ」

「……なんでですか? 私の事、どう思ってるんですか……?」

「なんだその質問」


颯ちゃんの表情が般若だ。離れて見てる私ですらそう感じるのだから、あの場にいる彼女はもっと恐ろしく思ってるに違いない。

それでも、彼女は話す事をやめなかった。