「今回もこの子は友達ってやつなの?」


先輩はそう嫌味ったらしく言って、せせら笑った。


「あたしはダメでこの子が友達になれる理由が知りたいんだけど。前の子は付き合ってなかったんでしょ? だったらまぁ話は別として、この子は違うじゃん」


ここにいる誰もが思ってる疑問を、あの先輩はズケズケと問いただしていく。

先輩だってまだ颯ちゃんの事が好きなはずなのに、こう言うことをダイレクトに聞けるところがすごいと思う。

なんかちょっと体育会系のサバサバした感じがする先輩だから、思った事は聞かないと気が済まないのかもしれないな……なんて、思いながら私はこの光景の一部始終を聴衆に混ざって見届けた。


「ねぇ、なんとか言ったらどうなのよ」

「うっせ。そんなもんこいつに聞けよ」


颯ちゃんはぶっきらぼうに隣に座る彼女へと首を振って後は我関せずって感じで缶コーヒーをゴクリと飲んだ。


「ふーん、青井はこう言ってるけど、アンタは青井のなに?」

「あっ、えっと……」


見るからに大人しそうな女子。さらに一年と三年という年の差もあって、威圧感に耐えきれそうにない様子だ。

颯ちゃんの方をチラチラ見ながら目で助けを訴えてるのに、颯ちゃんは我関せずを貫き通してる。

なんて、鬼畜な……。

助けるつもりがないのなら、なぜ彼女を隣に座らせてのかがわからない。颯ちゃんが言うように、勝手に隣を陣取ったのだろうか? だとしたら休み時間も一緒にいた意味が分からない。

風除け役を任せたのなら、私の時のように助けてあげるべきだと思う。私の時は実際に助けになってたかは怪しいけど、少なからず颯ちゃんは助け舟を出そうとしてた。

けど、今は違う。今の颯ちゃんにはそうする気はなさそうだった。