颯ちゃんのことが好き。
それは今も変わらず、ううん、前よりも気持ちが大きくなってる。
こんな事なら側にいるんじゃなかった。お昼ご飯一緒にいなければ良かった。
知れば知るほど、遠くからでは分からなかった颯ちゃんを知って、私の欲深さは増してしまった。
でももう、いいよね。ずっと隠してたんだもん。
誰にも言わず、大好きなお姉ちゃんにだって言えなくて、ずっとずーっと胸の奥にしまいこんでたこの気持ち。
颯ちゃんに幻滅されて、もうあそこに戻ることもできなければ、この先この気持ちを明るみに出すこともないだろうから……だから、もういいよね。
「……だから言ったじゃん。あたしはそうじゃないかって思ってたし」
りょうちんは、驚きもせずあっさりとそう言ってのけた。
うん、りょうちんってばすごいね。きっと千里眼を持ってるんだね。
私もそんな眼を持っていたならば、こんな事にはならなかったのかもしれないね。
「ヒーローの隣には、やっぱりヒロインだよね」
そよ風が私の言葉を奪っていった。そよ風程度に奪われるような私の言葉は、もちろんりょうちんにも届かなかったらしい。
私はくるりと回れ右をして、りょうちんの後を追って教室へと戻って行った。