「何が得…」
「ネコ」
「…え?」


雨宮くんは、それだけ言うと私の後ろに視線を動かしていました。
気になって振り返ると、塀の上を悠々と歩く白ネコさん。


「ネコだね」

ふわふわで、小さくて可愛らしいです。

そんなネコさんを雨宮くんも可愛いと思ったみたいです。
少しずつネコさんに近づいていきます。



そして、触りたいのかゆっくりと手を伸ばしました。



…ただ無表情の雨宮くんです。

ネコさんが警戒して触らせてくれません。


確かに自分よりも大きな人間が無表情に見つめてくるとか、私がネコさんなら、勢いよく逃げ出すと思います…

そう考えると、このネコさんは肝が据わってらっしゃるみたいです…