「33階、3305…っと」
放課後。
右肩にかけたスクバには布教用雨宮綾、右手にはお母さんのメモ、左手には生活用品みっちりなキャリーバッグを引っさげ、私はタワーマンションのエントランスにいた。
当然オートロックのため、エントランスでメモにある部屋番号を入力し、自動ドアを開けてもらうんだけど…。
「………」
まず1回目。
ピンポーン、とうちのアパートとそう変わらないチャイムの音がして、しばらく待ってみるも応答はなくもちろん自動ドアも開かず。
もしかして留守?
いやいや、今日のこと知ってるはずだし。
よし、もう1回。
「3、3、0、5…っと」
再び同じボタンを押してまたピンポーン、とチャイムが鳴るも、またまたその後はうんともすんとも言わない。
えぇ、まさか本当に留守なの?
こんな大荷物じゃどこにも行けないし、困ったな。
ダメ元で最後にもう1回だけ…
半ば諦め気味に再び呼び鈴を鳴らそうとした時。