頬杖をついて、真っ直ぐに私を見つめるダークブラウンの瞳に体が動かなくなる。
「クラスも同じだったし、席も隣になったりした。だからそこそこ喋るっていうか、ほら、あいつ元から口数少ないでしょう」
「はい」
「だから多分、女子の中では私が一番仲が良かったんじゃないかと思ってるんだけど」
「そう、ですか」
どうしていきなり、そんな話。
「で、社会に出たらまたこうして再会。なんか少し運命感じない?」
「え…」
「私の言いたいこと、分かる?」
まるで、蛇に睨まれた蛙。
足の裏が接着剤で床にくっついたみたいに、身動きが取れない。
「私、好きよ。綾のこと。あなた何かよりずっと前からね」
「っ、私は、そういうのじゃ…」
「そう?じゃあ、下手にちょっかい出さないでもらっていい?」
ニッコリと笑っているのは口元だけ。
相変わらず射るような視線に呼吸するのも忘れそうなほど、胸が痛い。
「でも、よかったわ」
「え?」
「あいつああ見えて優しいでしょう。だから昔から勘違いする女の子が多くて大変そうだったから今回もって心配してたんだけど、そうじゃないならいいの」
ーーー今日の私は、どこかがおかしい。
嬉しくなったり、苦しくなったり、逃げたくなったり。
そして今は、恥ずかしくて消えてしまいたいと思っている。