「今日だって打ち合わせするって言ってんのにさっさと帰るし、あんたその子大事にしすぎじゃないの?」




だ、大事!?




「預かり物だからな。大事は大事だが」




で、ですよねー…。





「でもまあ、確かに放ってはおけないな」




「っ、」





そんな普通の顔してサラリとすごいことを言うなんて、大人はずるい。




余裕があって、思わせぶりで、何歩も先を歩いてて。





私はその後ろを、こうして赤くなった顔を隠すために俯いてついて行くしかないんだ。





「………彩羽ちゃんさぁ」




その後、打ち合わせをしている2人の声をBGMにゆっくりと噛み締めながらパスタとサラダを完食した私は洗い物に取り掛かって。




缶ビールがなくなったからとコンビニに雨宮さんが出かけ、リビングには私と睦月さんの2人。




「やっぱりあなた、綾のこと好きでしょう」



「っえぇ!?」




予期せぬ質問に思わずお皿を落としそうになる。



「その焦り方、図星?」



くすくすと口に手を当てて笑う睦月さんはどうしてマネージャー業をしているのだろうと不思議に思った。




だってそこら辺のアイドルや女優さんなんかよりよっぽど綺麗だから、表舞台に立っていてもおかしくないんじゃないかって。




「私と綾はね、高校の同級生なの」