「雨宮さんも魔法使いみたいですね」



一言一言がこんなにも嬉しいなんてこと初めてで。




「何言ってんだ、アホ」





こうして笑ってくれるだけで心が満たされるような。





そんな不思議な気持ちをくれる雨宮さんは、きっと魔法使いに違いない。




なんて一人でニヤニヤしていると、部屋に響き渡ったのはチャイムの音。





こんな時間に誰だろう?




「私見てきますね」



「いや、放っておけ」




「え、でも」




「どうせ勝手に入ってくる」





いやいや、それはそれでどうなんですか。




なんて心の中でツッコミを入れていると、本当にガチャリと玄関が開く音がして。





「こんばんは、昨日ぶりね」



「ひっ」




近付いてきた足音はリビングの扉を開け、入ってきた人物の姿に思わず声が上がってしまう。




「ちょっと、そんなにビビらなくてもいいんじゃない?」




「無理もないだろう。初対面であれだけ攻撃されれば誰でもこうなる」




「攻撃って、元はと言えばあんたが先に話通しといてくれたらこんなことにはなってないってのに…」