いつの間にか窓の外は真っ暗で、慌ててスマホで時間を確認すると20時すぎ。
「すみません私、すぐ戻りますなんて言って爆睡しちゃってて…」
「そんなことはいい。それより体調はどうなんだ」
「へ?」
「頭が痛いと言っていただろう」
そういえば、私そういう設定でここに逃げ込んだっけ。
「お陰様でもう大丈夫です。あ、お風呂まだですよね?すぐに準備します」
「いや、その前に飯だ」
「…お家で食べるんですか?」
「あぁ。もう出来ているから早く来い」
「えっ」
出来てるって、そんなまさか。
「口に合うかは分からんがな」
ダイニングテーブルの上には、パスタとサラダ。
丁寧にお茶まで準備してあって、初めて見る光景に驚きが隠せない。
「これ、全部雨宮さんが作ったんですか?」
大葉とツナの和風パスタに、小エビのサラダ。
彩も盛り付けも完璧で、私が作るものなんかより美味しそう。
「さっさと食え。冷める」
「は、はい!いただきます…!」
雨宮さんに急かされ、慌ててダイニングチェアに座り、まずはパスタを一口。
「お、美味しい…!」
大葉のお陰でサッパリしてて、でも薄味ってわけでもなくて、絶妙な味付け。
「…その調子なら本当に大丈夫だな」
「え?」
「お前があんまり起きてこないからな。よっぽどしんどいのかと思ったが、それだけ食えればもう心配いらんだろう」