なんだか、もやもやする。
本当なら、大好きな雨宮さんにこうして美月が褒められているのを聞いて私まで嬉しくなってもおかしくないのに。
今日はどうしてか、喜ぶどころか、むしろ嫌、くらいで。
熱が冷めていく。
頬から、指先から、耳から、胸から。
あんなに騒ぎ立てていた心臓も、今度はぎゅっと軋むように痛くて。
どうしてかな。
雨宮さんより、よっぽど私の方がおかしいや。
「私、頭が痛いので少し休んできますね」
「おい、大丈夫か」
「大丈夫です。すぐ戻りますから」
作り笑顔を貼り付けて、自分の部屋へ逃げ込む。
「…………変なの」
ぼすん、とベッドにダイブして、枕に顔を埋める。
夢遊病の次は心疾患?
どうしちゃったんだろう、私の体。
自分の事なのに、全然わかんないや。
ただ思い出せるのは、嬉しかったこと。
"可愛い顔して笑うだろう"
きっと、普段言われ慣れていないから。
男の人に可愛いなんて言われたことがなかったから。
だからきっと、こんなに嬉しかった。
なのにどうしてそれが一瞬にで曇ってしまったのか。
もんもんと考えているうちに、まぶたが重くなって。
「おい」
いつの間にか眠っていた私を起こしたのは、目覚ましや物音ではなく雨宮さんの声だった。