にやりといたずらっ子みたいに笑う顔。
またひとつ増える、新しい雨宮さん。
どきどき、どきどきと騒ぐ心臓。
そうです。私、こんなこと全部初めてなんです。
誰かをかっこいいと思って見とれるとか、恥ずかしくて顔が熱くなってどうしようもないとか、こんな症状初めてでどうしたらいいのか分からない。
雨宮さんは涼しい顔しているからそういうことに慣れているんだろうけど…。
「そういえば、今日お前の隣にいたのが友達か」
「あ、はい!雑誌とか貸してくれたのもあの子です」
ソファに腰掛けた雨宮さんはプシュ、と缶ビールを開ける。
「なかなか綺麗な顔立ちをしていたな。背も高いようだし、いい意味で高校生には見えない」
「雨宮さん、目、いいんですね」
「いや、そうわけじゃないが誰でも綺麗なものには目が止まるだろう」
あぁ、そっか。
私が雨宮さんに見とれるように、雨宮さんも同じなんだ。
綺麗な人、可愛い人、そんな人に目を奪われる。
でも、なんかそれって。
「なんだ、何をすねている」
雨宮さんは急に黙り込んだ私を振り返る。