「だからどんな人だったか報告待ってるから!頑張ってね」
そのまま美月が私の机の上に大量の雨宮綾を残したまま自分の席へと戻ったところでタイミング良くチャイムが鳴って。
……なんだか、荷物が増えてしまったような気がしないでもない。
目の前に積まれた雑誌の表紙の中からこちらへ笑いかけてくる雨宮綾。
切れ長のクールな瞳に、きりりと整った眉。
スッと通った鼻筋に、桜色の薄い唇。
男の人では長髪に入るであろう長さの髪は黒だけど、私のとは比べ物にならないくらいツヤツヤで指通りも良さそうで、なにより色っぽい。
うん、確かにかっこいい。ファンって程じゃないけど。
まさに大人の男って感じだけど、笑うと目元が優しくなって、どこか可愛さもあって。
布教するかは別として、これはファンが多いのも頷ける。
美月の言う通り百瀬さんとの話題作りになればいいなぁ、なんて。
この時はそんな呑気なことを考えていた私だった。