私よりはって、まるで私の体重を知っているかのような物言いだ。
でも私は雨宮さんに体重を暴露したこともないし、一体どうして…
「なんだ、覚えていないのか」
「だって思い返してみましたけど、私雨宮さんに体重教えたことなんてないですもん」
「それはそうだろう。今日の朝抱き上げた時の感覚だけだからな」
「だ、抱き…っ!?」
「起きているのかと思ったが、違ったか」
顔色一つ変えずにレジに進んだ雨宮さんはそのまま会計をすませると、私の手からエコバッグを引き抜き、さっさと荷物を詰めてスーパーを出ていってしまう。
「ま、待ってください!!」
突然のことに頭がついて行かず置いてけぼりをくらった私はすぐにその背中を追いかけて。
「だだだだ抱き上げたって、一体どういう…」
「そのままの意味だ。朝起きたらお前が俺のベッドの隅で寝入っているものだから抱えて運んでやった」
「それは、もしや所謂お姫様抱っこ的なやつでは」
「ふ、まあそうことになるか。とても姫には見えんがな」
小馬鹿にするように小さく笑った雨宮さんの言葉に突っ込んでる余裕など、今日はどこかに落としてきてしまったらしい。
だってだって、まさか本当に朝のあれが夢遊病じゃなくて雨宮さんだったなんて思わなくて。
お姫様抱っこってことは、超密着していたというわけで。