いや。いやいやいやいや。
まさか、そんなことあるはずない。
だって私は10キロのお米4袋以上の重さがあるっていうのに、あんな骨ばった細い腕にそれが持ち上げられるわけがない。
ほら、雨宮さんが10キロのお米4袋とちょっとを抱えてる姿なんて想像出来ないし、うん。
…ということは、やっぱり夢遊病かしら。
緑色のカーテンを開けると、朝日が私を照らす。
今日は土曜日。学校はお休み。
実はまだ少し眠いけど、せっかくのいいお天気だし気分転換に沢山洗濯回しちゃおう。
ベッドシーツに枕カバー、シーツやタオルケットなどなど思いつくものを洗いまくっていると、あっという間に10時すぎ。
涼しいうちに買出しにでも行こうかな、と思いついたところで部屋着のポケットの中でスマホが震えた。
お休みの日に誰だろう?
スマホを開くとそこには"着信:今野美月"の表示。
休みの日は下手したら夕方まで寝てるって言ってたのに、どうしたんだろう。
もしかして寝ぼけてかけちゃったとかかな?
「もしもし?」
『おはよう彩羽!!今、暇!?』
恐る恐る通話ボタンを押すと、耳をつんざく美月の声。電話越しでもわかるくらい興奮している。
「ま、まぁ暇って言ったら暇だけど、どうしたのいきなり」
『詳しくは会ったら話すから今すぐ白壁緑地公園きて!!』
「え、ちょっとそんな急に言われても」
『絶対後悔はさせないからっ!!じゃあ後でね!』
そう言って一方的に切られてしまった電話。
後悔させないって言ってたけど、何があるんだろうか。